政談談論「韓国への経済制裁よりも竹島に自衛隊を派遣せよ」(太田誠一 2019年8月号)

韓国への経済制裁よりも竹島自衛隊を派遣すべきです

自国の領海・領土を自国で守る覚悟を内外に示すことが、

日韓、日中問題を根本的に解決できる唯一無二の方法です

 

果たして「よく決断した」のか?

 

政府は、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォン有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計三品目の輸出規制を強化しました。いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置です。同時に、先端材料などの輸出について、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外します。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づけます。ホワイト国は安全保障上日本が友好国と認める米国や英国など計二十七カ国あり、韓国は平成十六年に指定されていました。いわゆる徴用工訴訟に関する韓国最高裁判決をめぐり、日本側は日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を求めましたが、韓国は問題解決に向けた対応策を示さないため、日本政府が事実上の対抗措置に踏み切りました。

二〇一七年に文在寅ムン・ジェイン)政権が誕生すると、二〇一八年に入り慰安婦問題日韓合意が破棄されたり、徴用工訴訟問題や日本の自衛隊機に向けて射撃レーダーが照射される韓国海軍レーダー照射問題が発生するなど日韓関係の悪化が深刻なものとなっています。また、日韓両国間には、日本と韓国が互いに領有権を主張している竹島領土問題もあります。一九〇五年島根県への編入以降は日本が領有していましたが、第二次世界大戦終戦後の一九五二年、韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領の海洋主権宣言の翌年一九五三年に韓国の武装市民が武力制圧し、一九五六年には韓国政府に引き渡しました。以後、韓国武装警察が駐留している。日本政府はこれを不法占拠として非難しています。日本政府は一九五四年国際司法裁判所に裁定を求めましたが韓国政府はこれに応じず、警備隊を常駐させたり、五百トン級船舶が利用できる接岸施設を作るなどしています。

こうした韓国の対日政策に憤懣を溜めていた多くの日本国民にとって、今回の日本政府の措置に「よく決断した」と評価する声も多いようで、私も一瞬は溜飲を下げる思いをしました。しかし、よく考えてみると、子どものような幼稚な反日感情で動くような韓国という国に対して目くじらを立ててまともに対応する必要があるのでしょうか。かつて「日本国」だった韓国のいわれなき怨恨に付き合う必要はないではありませんか。しかし、それでも確かに最近の文政権の動きには不穏なものはあります。北朝鮮へのすり寄りは下手をすれば朝鮮半島北朝鮮化、ひいては中国の半島への影響力を増大させて、その結果、日本の喉元につき刺さる朝鮮半島全体が、敵国になってしまうという危険性をはらんでいます。

 

 

大儀なき制裁

 

 

これまでの韓国の内政に対する国民の不満の捌け口のための「反日」であれば、まだ可愛いものですが、わが国の安全保障を脅かす情勢であるならば、今回のような経済制裁ではなく、実力行使で竹島海上自衛隊を向わせるくらいのことをやるべきではありませんか。竹島への韓国の振る舞いは、日本国にとって明らかな「領土侵犯」なのですから、自衛権が発動されるべきなのです。今改正が俎上に載っている憲法九条のもとで許容される自衛の措置としての武力の行使の三要件は、「一.わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。二・これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと。三・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」に当てはまります。

自国の領土・領海を守るのは、国として当然のことなのに、これまでまったくと言っていいほど実行していません。恐らく、韓国は「自衛隊は戦えない」と舐めているのではありませんか。それは、尖閣諸島付近の日本の領海を度々侵犯している中国も同様です。自衛隊は日本の領土・領海を守るためには最低限の武力を行使できることを実証してみせるべきではありませんか。日本がその覚悟を行動で示せば、それが抑止力になって従軍慰安婦、元徴用工問題など見えすいた「言いがかり」もなくなるのではないでしょうか。

竹島への自衛隊出動の目的は、もちろん韓国と戦うためではありません。確かに一触即発の事態を招くかもしれませんが、それを恐れていては、自国は守れません。自衛隊出動の目的は、竹島に駐屯している韓国武装警察の撤退です。その代わりに日本側も自衛隊を駐屯させず、一種の非武装地帯にするべきです。今回のような経済政策では根本的な解決は、望めません。今回の経済制裁は、トランプ大統領の対中経済制裁の物まねにしか過ぎず、大義はありません。

つまり、自国を守るという目的、大義がないのです。この経済制裁を具申したのは、間違いなく経済産業省です。この経産省は今や「安倍親衛隊」を以て自認している省なのです。安倍首相もそれが分かっているから、官邸で優遇しています。安倍政権の政策の背後には経産省が控えていて、それだけ官邸にこの省が蔓延っているのです。今回の措置は、選挙を前にした国民受けをする政策に過ぎず、経産省が安倍首相に阿って具申したものに過ぎません。世耕弘成経産大臣は、典型的な安倍首相の追従者ですから、何をか言わんや、です。恐らく、この後韓国と何らかの妥協点を見出して収束すると思いますが、韓国によるわが国への侵犯行為はこれで止むはずがありません。

ところで、G20大阪サミット後にトランプ大統領日米安全保障条約同盟について「不公平だ」と発言し、物議を醸しました。恐らく、「日本が攻撃された時、我々は日本を守るために戦わなければならないが、我々が攻撃された時に彼らは戦う必要はない」という、「素朴なアメリカ人」の真意をその代弁者であるトランプ大統領が発言しただけのことです。仮に日中戦争が起きた時に、安保条約に基づいて米軍は前線に出て、肝心の日本の自衛隊は後方支援に回ってしまうのでは、というアメリカの疑念が根底にあるのです。つまり、日本人が血を流さないのになぜ自国の兵隊を犠牲にしなくてはならないのか、という素朴な疑問があるのです。自国を守るために自衛隊が出動しない今の状態では、アメリカが安保条約は片務的で見直すべきだと思っているのも無理はありません。

こうした「弱腰」姿勢を続けていれば、いずれはアメリカ側から安保条約を破棄しようという動きが本格化するかもしれません。もし、安保が無くなれば、日本国民も「自国は自国で守る」ことを否が応でも考えることになるでしょう。自国を自国で守ろうとしない姿勢を続けていれば、いずれはアメリカに愛想を尽かされ、中韓からは舐められっ放しの状態が続くでしょう。

過激に受け止められるかもしれませんが、まずは韓国に不法に占拠されている竹島に一発のミサイルを撃ち込むべきです。それはあくまでも人のいない地帯に、です。そうすると、韓国は急いで戦闘態勢を整え、こちら側もそれに応じ、その結果、初めて交渉のテーブルに就けばいいのです。それくらいの覚悟を国内外に示す必要があります。